「家庭菜園でバジルを育てたいけれど、庭に植えてはいけないと聞いて不安…」と感じていませんか。バジルの育て方には、日当たりの良い場所での地植えに関する注意点や、手軽なプランターを使った室内栽培など、様々な選択肢があります。特に、バジルはこぼれ種で自然に増える性質があり、大きくなりすぎると風味が落ちること、さらにはアブラムシなどの害虫対策が上手な植え方の重要なポイントになります。
適切な種まき時期や栽培に必要なもの、良質な用土や肥料の選び方、苗を植え替える際の移植ごての使い方、そして多くの人が誤解している地下茎で増えるという噂の真相まで、この記事で全ての疑問を解消します。
なぜ?バジルを庭に植えてはいけないと言われる理由
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- こぼれ種で予期せず増えることがある
- 大きくなりすぎると風味が落ちるの?
- 対策しないと害虫が集まりやすい
- 地下茎で増えるというのは誤解
こぼれ種で予期せず増えることがある
バジルを庭に植えてはいけないと言われる最も大きな理由の一つが、その繁殖力の強さにあります。バジルはシソ科の植物で、花が咲いた後にできる種が地面に落ちる「こぼれ種」によって、翌年以降も勝手に芽を出すことがあります。
特に、気温が20℃以上になる暖かい地域では、発芽率が高く、思いもよらない場所からバジルが生えてくることも少なくありません。これが「植えていないのに増えすぎて手に負えなくなる」というイメージに繋がり、「植えてはいけない」という話の原因になっています。
ただ、バジルは寒さに非常に弱いため、冬に気温が10℃以下になる日本の多くの地域では、こぼれ種から発芽したとしても冬を越せずに枯れてしまいます。そのため、ミントのように地下茎で広がる植物と比べると、繁殖力は限定的です。もし増えすぎた場合でも、除草は比較的簡単に行えます。
こぼれ種対策のポイント
バジルの意図しない繁殖を防ぐ最も効果的な方法は、花が咲く前に蕾を摘み取ることです。蕾を摘むことで、種ができるのを防げるだけでなく、株のエネルギーが葉に集中し、葉が硬くなるのを防いで風味の良い状態を長く保つことができます。
大きくなりすぎると風味が落ちるの?
バジルは生育旺盛なハーブで、適切な環境で育てると草丈が1m近くまで大きくなることがあります。しかし、株が大きく成長しすぎると、葉や茎が硬くなり、バジル特有の爽やかな風味が落ちてしまうというデメリットがあります。
これは、植物が成長して花を咲かせ、種を作ろうとすることにエネルギーを使い始めるためです。開花が進むと、葉の香気成分が減少し、食感が悪くなってしまいます。また、草丈が高くなりすぎると、バジル自身の重みで倒れやすくなるという問題も発生します。
巨大化させないための管理
バジルの風味を損なわず、美味しく収穫し続けるためには、こまめな摘心(てきしん)が欠かせません。草丈が20cm程度に育ったら、一番上の芽を摘み取ることで脇芽の成長が促され、株が横にこんもりと茂ります。これにより、収穫量が増えるとともに、巨大化を防ぎ、柔らかい葉を長く楽しむことができます。
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対策しないと害虫が集まりやすい
バジルは「虫除け効果があるハーブ」と言われることもありますが、残念ながら全く虫がつかないわけではありません。むしろ、柔らかく香り高い新芽は、特定の害虫にとって格好の餌食となります。
特に注意したいのが、以下の害虫です。
- アブラムシ・ハダニ:新芽や葉の裏にびっしりと付き、植物の汁を吸って生育を阻害します。
- ヨトウムシ:夜行性で、夜の間に葉を食い荒らします。日中は土の中に隠れているため見つけにくいのが特徴です。
- ベニフキノメイガ:幼虫が葉を食害し、糸を吐いて葉を綴り合わせることもあります。
これらの害虫は、見た目が悪くなるだけでなく、ウイルス病を媒介する可能性もあります。地植えで他の植物の近くに植えている場合、被害が広がるリスクも考慮しなければなりません。
害虫対策の基本は、風通しを良くすることと早期発見・早期駆除です。こまめに葉の裏をチェックする習慣をつけることが大切ですよ。
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地下茎で増えるというのは誤解
「庭に植えてはいけないハーブ」としてよく名前が挙がるミントは、地下茎(ちかけい)という地中の茎を伸ばして爆発的に繁殖します。このイメージから、同じハーブであるバジルも地下茎で増えるのではないかと誤解されることがありますが、これは明確な間違いです。
バジルは地下茎を持たず、根を深く張って横に広がるタイプの植物ではありません。前述の通り、バジルが増える主な原因は「こぼれ種」によるものです。
地下茎で増える植物との違い
地下茎で増えるミントや竹などは、一度庭に根付くと根絶が非常に困難です。広範囲に広がった地下茎を完全に取り除くのはプロでも難しく、庭の生態系を大きく変えてしまう可能性があります。一方、バジルは株ごとに独立しているため、万が一増えすぎてもその株を引き抜けば簡単に除去できます。この点が、ミントとバジルとの決定的な違いです。
このため、「地下茎で庭が乗っ取られる」という心配は、バジルに関しては不要です。この誤解が、「バジルを庭に植えてはいけない」という噂を助長している一因と言えるでしょう。
バジルを庭に植えてはいけないは誤解!育て方のコツ
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- 栽培に必要なものと基本の用土
- 種まき時期と上手な植え方
- 基本の育て方と肥料のやり方
- 地植え栽培での注意点と移植ごて
- 室内栽培ならプランターがおすすめ
栽培に必要なものと基本の用土
バジルを元気に育てるためには、まず基本的な道具と適切な土を準備することが大切です。初心者の方でも、これらを揃えれば簡単に栽培をスタートできます。
栽培に必要なものリスト
項目 | 説明 |
---|---|
苗または種 | 初心者の方は、丈夫なポット苗から始めるのがおすすめです。種から育てる場合は、発芽率の良い園芸店の種を選びましょう。 |
プランター・鉢 | 室内やベランダで育てる場合に必要です。1株なら直径15cm以上(5号鉢)、複数株なら深さのある長方形のプランターが適しています。 |
用土(培養土) | 市販の「ハーブ用の土」や「野菜用培養土」が便利です。これらは肥料が配合済みで、水はけも良く調整されています。 |
鉢底石・鉢底ネット | プランター栽培の場合、水はけを良くし根腐れを防ぐために鉢の底に敷きます。 |
肥料 | 生育期間が長いため、追肥が必要です。液体肥料や緩効性の化成肥料を準備します。 |
ジョウロ・ハサミ | 水やりや、摘心・収穫の際に使用します。清潔なものを使いましょう。 |
用土の選び方
バジルは水はけと水もちの良い、肥沃な土を好みます。自分で土を配合する場合は、「赤玉土(小粒)6:腐葉土3:バーミキュライト1」の割合で混ぜ、元肥として緩効性化成肥料を加えると良いでしょう。地植えの場合は、植え付けの2週間前に苦土石灰をまいて土壌の酸度を調整し、1週間前に堆肥や腐葉土をすき込んでおくと生育が良くなります。
種まき時期と上手な植え方
バジルの栽培を成功させる鍵は、適切な時期に植え付け、根を傷つけないように丁寧に扱うことです。
種まきと苗の植え付け時期
バジルは熱帯原産の植物で寒さに弱いため、十分に暖かくなってから作業を始めるのが鉄則です。
- 種まき:気温が安定して20℃以上になる4月下旬から6月頃が適期です。早すぎると発芽しないか、発芽しても育ちが悪くなります。
- 苗の植え付け:園芸店などで苗を購入する場合、遅霜の心配がなくなった5月中旬以降が最も安全です。
ポット苗を植え付ける際は、以下の手順で丁寧に行いましょう。
- 場所の準備:プランターの場合は鉢底石と用土を入れ、地植えの場合は植え穴を掘ります。穴の大きさは、苗のポットと同じくらいにします。
- 水やり:植え穴にたっぷりと水を注ぎ、土に水分を浸透させておきます。これは「呼び水」といい、根の活着を助けます。
- 苗の取り出し:ポットを逆さまにし、根元を優しく支えながら、根鉢(根と土が一体化した部分)を崩さないようにそっと取り出します。
- 植え付け:苗を植え穴の中央に置き、周囲に土をかぶせていきます。根元を軽く押さえて株を安定させます。
- 最後の水やり:植え付け後、再度プランターの底から水が流れ出るくらい、もしくは地面にしっかり染み込むくらい、たっぷりと水を与えます。
良い苗を選ぶコツ
苗を選ぶ際は、葉の色が濃い緑色で生き生きとしており、茎が太く、節と節の間が詰まっているものを選びましょう。ひょろひょろと伸びすぎているものは避けるのが無難です。
基本の育て方と肥料のやり方
バジルは丈夫なハーブですが、いくつかのポイントを押さえることで、より多くの葉を長く収穫できます。
水やり
バジルは乾燥に弱い性質を持っています。特にプランター栽培では土が乾きやすいため、土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えるのが基本です。地植えの場合も、晴天が続く夏場は乾燥に注意しましょう。
夏の水やり注意点
気温が高い日中に水やりをすると、水がお湯のようになり根を傷める原因になります。夏場は、気温が低い朝か夕方に水やりを行ってください。
肥料のやり方
バジルは葉を次々と収穫するため、たくさんの栄養を必要とします。肥料切れを起こすと下の葉から黄色く変色して落ちてしまうため、定期的な追肥が重要です。
- 元肥:植え付け時に、培養土に混ぜ込まれているもので十分ですが、自分で土を作る場合は緩効性肥料を混ぜておきます。
- 追肥:植え付けから約1ヶ月後、または草丈が20cm程度に成長したら追肥を開始します。
- 固形肥料(化成肥料など):月に1回、株元から少し離れた場所に規定量を置きます。
- 液体肥料:1〜2週間に1回、水やり代わりに与えます。即効性があり、生育が悪い時の回復にも役立ちます。
肥料の与えすぎは葉が硬くなる原因にもなるため、製品に記載された使用量を守ることが大切です。
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地植え栽培での注意点と移植ごて
バジルを庭に地植えすると、プランター栽培よりも大きく育ち、たくさんの葉を収穫できるというメリットがあります。しかし、いくつか注意すべき点も存在します。
地植え栽培の注意点
- 日当たりと風通し:バジルは日光を好みますが、日本の真夏の強すぎる直射日光は葉焼けの原因になります。一日中日が当たる場所よりは、午前中に日が当たり、午後は少し日陰になるような場所が理想的です。また、風通しが悪いと病害虫が発生しやすくなるため、株間は30cm程度あけて植えましょう。
- 土壌の管理:水はけが悪い土地では、根腐れを起こしやすくなります。植える前に腐葉土や堆肥をすき込んで、土壌を改良しておくことが重要です。
- 冬越しは困難:バジルは寒さに非常に弱く、地植えの場合は冬になるとほぼ枯れてしまいます。多年草として毎年収穫したい場合は、鉢植えにして冬は室内に取り込む必要があります。
移植ごての使い方
種から育てた苗を畑に定植(植え替え)する際や、株分けをする際には「移植ごて」が役立ちます。根を傷つけないように、以下のポイントを意識して使いましょう。
- 苗の根が張っている範囲より少し大きめに、移植ごてを土に差し込みます。
- てこの原理を利用するように、根鉢全体を優しくすくい上げます。
- 根をできるだけ崩さないように、そのまま新しい植え場所に移動させます。
トマトの近くにバジルを植えると、互いの生育を助け合う「コンパニオンプランツ」としての効果も期待できます。トマトが適度な日陰を作ってくれるので、バジルの葉焼け防止にもなりますよ。
室内栽培ならプランターがおすすめ
「庭の管理は大変そう」「虫が苦手」という方には、室内やベランダでのプランター栽培が断然おすすめです。手軽に始められ、多くのメリットがあります。
プランター・室内栽培のメリット
- 管理が容易:水やりや肥料の管理がしやすく、目の届く範囲で育てられるため、病害虫の早期発見にも繋がります。
- 天候に左右されない:台風やゲリラ豪雨の際には、簡単に室内に避難させることができます。また、真夏の強すぎる日差しを避けて、日陰に移動させることも可能です。
- 冬越しが可能:寒さに弱いバジルも、冬場は暖かい室内に取り込むことで冬越しさせることができます。これにより、一年草ではなく多年草として長く楽しむことが可能になります。(ただし、株が古くなると木質化して葉が硬くなる傾向があります)
- キッチンハーブとして便利:キッチンの窓辺などに置けば、料理に使いたい時にいつでも新鮮な葉を摘むことができます。
プランター選びのポイント
バジルは根をしっかりと張るため、ある程度の深さがあるプランターを選びましょう。1株だけ育てるなら、直径・深さともに15cm以上の丸鉢(5号鉢以上)が目安です。バジルソースを作るなど、たくさん収穫したい場合は、複数の株を植えられる横長のプランターが適しています。
水耕栽培という選択肢も
土を使わない水耕栽培も、室内でバジルを育てる人気の方法です。土を使わないため虫の発生リスクがさらに低く、キッチンを清潔に保ちたい方に最適です。摘心した茎を水に挿しておくだけでも簡単に発根し、そのまま育てることができます。
詳しくはこちらの動画から

「バジルを庭に植えてはいけない」は育て方次第
この記事では、バジルを庭に植えてはいけないと言われる理由から、初心者でも安心して栽培できる具体的な育て方まで詳しく解説しました。最後に、重要なポイントをリストで振り返ります。